アルミ鋳物材料物性値
アルミ鋳造用合金には、AC1AからAC9Bまで種別に成分、特性の違いがあります。
弊社で使用しているAC4CHは、下記のように機械的性質、リサイクル性などに優れ、非常に優秀な合金です。
・強度は、全アルミ鋳造合金のうち中程度だが、鋳造性が良いので実体強度は高い信頼性がある。
・鋳造性は、AC3Aに次いで高い鋳造性がある。
・被削性は、全アルミ鋳造合金のうち比較的良いほうである。
・耐食性は、AC7Aに次いで高い耐食性がある。
以下は、鋳物用アルミ合金の物性値、特性、成分の資料です。
■ AC4CHの物性値について
引張強さ指標195~295 N/mm2
引張強さ230(N/mm2)
0.2%耐力165(N/mm2)
伸び5.2(%)
硬さHB 80
縦弾性係数(引張り) 72.5(kN/mm2)
縦弾性係数(圧縮) -
剪断弾性係数24(kN/mm2)
ポアソン比- [アルミニウム合金一般で0.33]※参考
実体強さ(最小値) 235(N/mm2)
実体強さ(最大値) 254(N/mm2)
※あくまで参考にしてください!
圧縮強さ - [一般に引張強さの70%程度と考えれば良いのでは]
せん断強さ - [一般に引張強さの50%程度と考えれば良いのでは]
曲げ強さ - [一般に引張強さの100〜150%程度と考えれば良いのでは]
■ 鋳物用アルミ合金の種類と特性
・合金の種類と特性
AC1A,AC1B(Al-Cu,Al-Cu-Mg系)
高強度だが鋳造性が悪く、耐食性も良くない。
架線用部品、自転車部品、航空機用油圧部品、電装部品などの高い強さを必要とする構造材に用いられる。
AC2A,AC2B(Al-Cu-Si系)
Al-Cu系の鋳造性を改善した合金で、流動性、被削性、溶接性が良好
AC2Aは自動車のシリンダ-ヘッド、マニホ-ルド、デフキャリア、ポンプボディ、足回り部品などに用いられる。
AC2Bはクランクケ-ス、バルブボディ、クラッチハウジングなどに用いられる。
AC3A(Al-Si系)
流動性が良く、薄肉で大型鋳物、形状が複雑な鋳物に用いられる。非熱処理型合金で、比較的強度が低く、機械的特質、被削性が劣るが、溶接性、耐食性は良い。
ケ-ス、カバ-、ハウジング類、カ-テンウォ-ルなどに用いられる。
AC4A,AC4C,AC4CH(Al-Si-Mg系)
当社が-ACE- で使用している材料
Al-Si系合金に少量のMgを加えたもので、熱処理効果を与え、機械的性質と被削性を改善した合金。耐食性が良い。
AC4Aはミッションケ-ス、クランクケ-ス、ブレ-キドラム、ギヤボックスに用いられる。
AC4Cは油圧部品、ミッションケ-ス、フライホイ-ルハウジング、ブラケット、水冷シリンダ-ブロック、ハンドル、カ-テンウォ-ルなど非常に多くに用いられている。
AC4CHは自動車用ホイ-ル、架線金具、航空機用エンジンなどに用いられる。
AC4B(Al-Si-Cu系)
比較的高い強度を持ち、流動性、耐鋳造割れ性、被削性、溶接性が良好
クランクケ-ス、シリンダ-ヘッド、マニホ-ルド、航空機用電装部品などに広く用いられている。
AC4D(Al-Si-Mg-Cu系)
Al-Si系の熱処理硬化性を改善して、強度とじん性を高めた合金で、耐食性、耐熱性が良好
シリンダ-ヘッド、シリンダ-ブロック、クランクケ-ス、ギアハウジング、油圧部品などに用いられる。
AC5A(Al-Cu-Ni-Mg系)
高温での機械的性質が特に優れるほか、被削性が良好
シリンダ-ヘッド、シリンダ-ブロック、油圧部品などに用いられる。
AC7A(Al-Mg系)
特に耐食性に優れた合金で、強さ、伸び、じん性が良好。陽極酸化もしやすい。
食料用器具、化学用部品、住宅や建築物の装飾、事務機器、ドア金具などに用いられる。
AC8A,AC8B,AC8C(Al-Si-Cu-Ni-Mg系)
熱膨張係数が小さく、耐摩耗性に優れる。高温強さ、鋳造性が良好
ガソリン及びディ-ゼルエンジン用ピストン合金として多く用いられる。
AC9A,AC9B(Al-Si-Cu-Mg-Ni系)
熱膨張係数が最も小さく、耐摩耗性に優れる。高温強さ、硬さが良好
二輪車用空冷ピストンシリンダ、ディ-ゼルエンジン用ピストンなどに用いられる。
■ アルミ鋳造用合金の化学成分についての表 (JIS H5202より)